腎機能障害に対する抗菌薬使用

外来診療を行っていると本当にいろいろな患者をみることになります。

その中に腎機能がわずかに低下している人は結構多いものです。

腎硬化症、ネフローゼ、糖尿病性腎症などで腎障害をきたしている例は多いですし、

そもそもそれらの基礎疾患がない人でも65歳を過ぎるとそれだけで腎機能は低下していることがあります。

軽度腎機能障害の患者に抗菌薬を投与しなければならない場面は多々ありますが、その場合に特に気を付けなければいけない抗菌薬を2つ挙げるとすると、バンコマイシンとアミノグリコシドだと思います。この2つは腎機能障害で注意が必要なのはもちろんのこと、クレアチニン値が正常な高齢者への投与でも腎機能障害が起きやすいのでその点でも注意が必要です。

逆に腎臓に関して安心して使える抗菌薬はセフトリアキソンです。

この抗菌薬は肝機能低下があるときには腎臓から排泄され、腎機能低下があるときには肝臓で排泄されるというすぐれものです。

さらに、1日1回の投与でOKだという特徴もあります。このために外来通院での治療も可能ですし、入院治療だとしても医療スタッフの手間が省けますし、患者さんのQOLの向上にもつながります。

もう一つ、腎機能障害でも使える薬で覚えておかなければならないのはミノサイクリンです。

セフトリアキソンはβラクタム系、セフェム系の抗菌薬です。βラクタム系の抗菌薬が効かない細菌が当然存在します。その時に使える抗菌薬として覚えておくべきなのがミノサイクリンです。ミノサイクリンは腎機能障害でも常用量投与できるという特徴があります。このため腎臓内科病棟には必ずミノサイクリンが常備されています。

 

出典:医学生・レジデントのためのポータルサイト レジトレ 015:Dr.孝志郎『救急外来と抗菌薬』