糖尿病

2型糖尿病患者の第1選択薬となるための条件

  • 低血糖をきたさない
  • 体重増加をきたさない
  • 副作用が少ない
  • 空腹時高血糖だけでなく食後高血糖も改善する
  • 心血管合併症を減らすエビデンスがある
  • 安価である
  • 服薬アドヒアランスが高い

 

 

経口血糖降下薬の選び方

禁忌でなければビグアナイド薬(メトホルミン)を第一選択とします。

第二選択薬はSU薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリンの中からそれぞれの特徴を考慮し患者さんと相談して決めます。

しかし、低血糖のリスクなども考えるとプライマリ・ケア医はSU薬やチアゾリジン薬は使わなくてもよいと考えられます。

そうすると第2選択としては、GLP-1受容体作動薬、インスリンは注射薬であるため抵抗があるので、残るDPP-4阻害薬が挙げられます。

 

 

2剤併用療法

3か月以内に各自のHbA1c目標値に達しない場合、2剤併用療法を行います。

第1選択薬のメトホルミンに加えてSU薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1製剤、インスリン(主に基礎)のいずれかを選択しますが、

それぞれに下記のような特徴があります。

SU薬 チアゾリジン薬 DPP-4阻害薬 GLP-1製剤 インスリン(主に基礎)
効果(↓HbA1c) 強い 強い 中等度 強い 最も強い
低血糖 中リスク 低リスク 低リスク 低リスク 高リスク
体重 増加 増加 増減なし 減少 増加
副作用 低血糖 浮腫/心不全/骨折 まれ 消化管症状 低血糖
コスト 安価 安価 高価 高価 さまざま

 

2型糖尿病に対するADA/EASD Statements(2012)

SU薬・チアゾリジン薬・インスリンでは肥満が増加

薬剤クラス HbA1c低下作用 低血糖リスク 体重変化
メトホルミン 不変~低下
SU薬 中等度 増加
チアゾリジン薬 増加
DPP-4阻害薬 中間 不変
GLP-1受容体作動薬 減少
インスリン 最大 増加

 

ADDORD study

高リスクの2型糖尿病患者において、

強化療法群(目標HbA1c値6.0%以下)と標準療法群(目標HbA1c値7.0~7.9%)を比較した試験のこと。

強化療法群では死亡率が優位に増加した。

 

α-GIについて

血糖降下作用が低く、腹部症状などの副作用があり、3回飲まなくてはいけないため飲みにくいため、米国ではほとんど使われていません。

炭水化物を多くとる日本人では低血糖を起こさず、体重も増やさないという利点があるため、初期・軽症の場合に使用可能です。

 

α-GI、グリニドは患者さんによっては2番目、3番目の薬として選択肢に挙がる。

 

インクレチン関連薬

インクレチンは消化管から分泌され、インスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制するホルモンです。

GLP-1とGIPの2種類があります。

 

DPP-4阻害薬

利点:1日1~2回の飲み薬。単独では低血糖を起こさず、体重も増やさない。

欠点:高価。まだ長期的な安全性が不明である。膵炎のリスク?→膵炎の既往がある患者にはDPP-4阻害薬の使用を避ける。

問題点:心血管病変に関するエビデンスが未確定である。最新の2つの大規模試験では「非劣性」。

DPP-4阻害薬は飲む回数と値段と胆汁排泄か腎排泄かで使い分ける。

 

GLP-1受容体作動薬(注射薬)

利点:1日1回または1週間に1回の注射でよい。体重を減らすことができる。単独では低血糖を起こさない。→在宅や自己注射できない高齢者では2番目以降の選択肢となる。

欠点:注射薬である。まれに急性膵炎の危険性がある(0.2%)。腎不全、嘔気、嘔吐、便秘、下痢などの副作用がある。

注意点:インスリンの代わりにはならない。1型糖尿病患者やインスリンが大量に必要な場合には使えない。

 

DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の違い

DPP-4阻害薬 GLP-1受容体作動薬
経口で投与 注射で投与
内因性の活性型インクレチン濃度を増やす 外因性に血中GLP-1を高濃度にする
血糖値を低下させるが、体重は減少しない 体重減少効果がある
高齢、腎機能障害者でのSU薬との併用は低血糖の危険性がある 特にSU薬との併用で低血糖が起こる可能性が高まる
嘔気や嘔吐の副作用は少ない 用量依存的に嘔気の副作用が増す

 

3剤併用療法

2剤併用療法を適用後、3か月以内に各自のHbA1c目標値に達しない場合、3剤併用療法を行う。

第1選択薬メトホルミン、第2選択薬SU薬としていた場合には、第3選択薬としてチアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリン(主に基礎)のいずれかを用いる。

第1選択薬メトホルミン、第2選択薬チアゾリジン薬としていた場合には、第3選択薬としてSU薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリン(主に基礎)のいずれかを用いる。

第1選択薬メトホルミン、第2選択薬DPP-4阻害薬としていた場合には、第3選択薬としてSU薬、チアゾリジン薬、インスリン(主に基礎)のいずれかを用いる。

第1選択薬メトホルミン、第2選択薬GLP-1受容体作動薬としていた場合には、第3選択薬としてSU薬、チアゾリジン薬、インスリン(主に基礎)のいずれかを用いる。

第1選択薬メトホルミン、第2選択薬インスリン(主に基礎)としていた場合には、第3選択薬としてチアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬のいずれかを用いる。

 

ただし、プライマリ・ケア医の場合には2剤併用療法を行ってもHbA1c8.0%以上続くなどの場合は専門医に紹介する。