
気管支喘息
気管支喘息の治療の基本は発作を起こさせないことで、
薬を使用しているということ以外は健常人と全く変わらない状態にすることを目標とします。
そのために最も大事なことは、
必ず吸入ステロイド(ICS)を使用することです。
症状を寛解にもっていくためには定期的にICSを吸入することが最も重要です。
しかし、吸入ステロイドのみの使用では薬の効果が発現するまでに時間がかかります。
患者が効果をより実感しやすいのはβ2刺激薬です。
医師はICSを患者に処方したいけれども、患者はすぐに効く薬を希望するため、
医師と患者の間に意識のずれが生じます。
この問題の解消のために、
吸入ステロイド(ICS)/長時間作動型β2刺激薬(LABA)の合剤を治療開始時に用います。
ICS/LABA合剤を使用することで早期から適切に症状をコントロールできるため、
患者のアドヒアランスをあげやすくなります。
初診患者の大半はICS/LABA合剤で治療が可能です。
実際の治療の流れです。
喘息と診断したら、まずICS/LABA合剤を中間用量使用します。ただし、外来診察時にすでに喘鳴を認める場合には、高用量で開始します。
数週間から数か月の使用で症状が全くでない状態になり、これを寛解といいます。寛解が3~6ヶ月間続いたら、合剤からICS単独(中等量)に変更します。
LABAは気管支を広げるため喘息の症状は改善しますが、喘息の根本的治療薬ではないからです。
ICS単独の使用でも患者は症状が全くない状態を維持できます。
喘息患者では喘息発作自体が喘息の状態を悪化させるため、喘息発作をおこさせないことが喘息治療につながります。
発作が起こったときに薬で発作を抑えるのではなく、発作をおこさせないようにコントロールするようにします。
ICSを段階的に減量しながら発作のない状態を維持できるようにコントロールします。